PINK FLOYD
about
Pink Floyd SYD BARRETT
ROGER WATERS
DAVID GILMOUR
NICK MASON
RICHARD WRIGHT
1964年にシグマ6結成。その後、名前・メンバーを代え(メガデスなんてバンド名で活動していた事もあった)、65年にシド・バレットが加入し、ピンク・フロイド・サウンド結成、そしてピンク・フロイドへといたる。初期のバンドの中心であるシドを楽曲の要に置き、67年にシングル「アーノルド・レイン」でデビュー、そしてアルバム「夜明けの口笛吹き」を発表。大ヒットを記録し、注目を浴びるが続く「神秘」のレコーディング途中でシドの精神が破綻し、脱退。このアルバムからギルモアを迎える。その後は「原子心母」「おせっかい」と次々と傑作を発表。そしてその頂点「狂気」を73年に発表し、世界中で空前の大ヒット。名実共にトップバンドへ。その後も「あなたがここにいてほしい」「アニマルズ」「ザ・ウォール」など次から次へと傑作を発表するも、83年の「ファイナル・カット」を最後にシド脱退以降の中心だったロジャーが脱退。フロイドはここで一度幕を下ろす。
その後、ギルモアが中心となり85年に復活。バンド名の使用権などをめぐってロジャーとバンドの裁判沙汰などもあったが、87年にアルバム「鬱」を、そして94年には「対」を発表する。もはや全盛期のマジックはなかったものの、現役ぶりを見せ付けた。しかしその後は沈黙。長い間動向が伺われていたが、2005年7月2日、「LIVE 8」にて、ウォーターズを含む黄金期のメンバーで突如として再結成、この日限りの復活ライブを行い、大変な反響を得た。再結成ツアーなどのオファーもあったそうだが、メンバーはこれを拒否。そして翌年の7月7日、脱退後も精神的支柱であったシド・バレットが死去。これに際し、再び再結成を行うのではないかとの噂もあったが、結局沈黙を守ったまま今に至る。2008年にはリック・ライトが死去した。
ピンク・フロイドはプログレッシブロックのみならず、ビートルズと並ぶ世界最大規模のバンドであり、世紀を代表する芸術集団である。
怪物「ピンク・フロイド」が残した功績はあまりに巨大であり、その音楽はまさに、魔法そのものである。


link
・Official http://www.pinkfloyd.com/
・MySpace http://www.myspace.com/pinkfloyd
review
"The Piper At The Gates Of Down" (1967)
"A Saucerful Of Secrets" (1968)
"More" (1969)
"Ummagumma" (1969)
"Atom Heart Mother" (1970)
"Meddle" (1971)
"Obscured By Clouds" (1972)
"The Dark Side Of The Moon" (1973)
"Wish You Were Here" (1975)
"Animals" (1977)
"The Wall" (1979)
"The Final Cut" (1983)
and more...

The Piper At The Gates Of Down
夜明けの口笛吹き
1.Astronomy Domine
2.Lucifer Sam
3.Matilda Mother
4.flaming
5.Pow R, Toc H
6.Take Up Thy Stethoscope and Walk
7.Interstellar Overdrive
8.The Gnome
9.Chapter 24
10.Scarecrow
11.Bike
ピンク・フロイドその記念すべき第一歩。そして2度とは到達出来なかった境地。発売当初の邦題はずばり「サイケデリックの新鋭」だった。破綻寸前の危険な加速感と、眩暈がするような幻想的な浮遊感が同時に存在する様は、以降のピンク・フロイドからはとても想像しがたい程。そして近寄りがたいほど実験的で、麻薬が全身に作するサイケデリックなアルバムなんだが、それでも不思議なことに、スッと耳に馴染む非常にポップなアルバムとしても成立しているのには、今でも驚きを禁じ得ない。兎にも角にも後にも先にもこれっきりしか存在しない、天然異端のサイケデリック作品で、この時点ではピンク・フロイドは完全にシド・バレットのバンドだった。向かいの部屋で録音されていたビートルズの「サージェント・ペパーズ」と並び、同時代を代表する傑作である。

A Saucerful Of Secrets

神秘
1.Let There Be More Light
2.Remember A Day
3.Set The Controls For The Heart Of The Sun
4.Corporal Clegg
5.A Saucerful Of Secrets
6.See-Saw
7.Jugband Blues
1968年発表。シド・バレットの精神衰弱(3曲にのみ参加)、それに因るギタリスト、デイブ・ギルモアの加入など、かなり微妙に揺れ動いていたであろう時期に作成されたアルバムだけあって、バンド全体の統一感というものはやや欠けるものの、逆さまの浮遊感、沈み込むような幻覚作用に満ちた、サイケデリックの名盤として非常に高い評価を得ているし、本国ではチャートの9位を獲得するなど、当時のリスナーからも大変に歓迎されたようだ。ひとたび聴けば強烈に作用するドラッグアルバムである。また、宇宙を地球に持ってきたかのような神秘的な音響や、空間の構築からは、既に「原子心母」以降のフロイドも、トリップの彼方に見えている。③「SET THE CONTROLS FOR THE HEART OF THE SUN(太陽讃歌)」と、12分に及ぶ儀式的なタイトル曲⑤「A SAUCERFUL OF SECRETS(神秘)」がやはりハイライト。「太陽讃歌」「神秘」ともに、は1972年のポンペイ遺跡における幻想的なライブ演奏が非常に有名なナンバーである。アルバムラストを飾る⑦「Jagband Blues」はシドの歌であり、この彼岸の歌を残して、シド・バレットはとうとう脱退してしまう。

More

1.Cirrus Minor
2.The Nile Song
3.Cying Song
4.Up the Khyber
5.Green is the Colour
6.Cymbaline
7.Party Sequence
8.Main Theme
9.Ibiza Bar
10.More Blues
11.Quicksilver
12.Spanish Piece
13.Dramatic Theme
1969年発表。バルベ・シュローダー監督の映画「モア」のための、ピンクフロイドとしては初のサントラ盤。ハードロックから現代音楽、シンプルなアコースティックからブルースまで、様々な音が空間に立ち現われては消えていく。全体を通して統一感は薄いが、それがかえって当作品を幻想的に魅せる。異世界が目の前に現れ、リスナーは軽いトリップに陥ってゆく。同年にはアントニオーニの「砂丘」のスコアを手がけたり、この頃から他様々な視覚的分野とも交差している。地味で目立たない作品であるが、だからこそなおのこと好きで、①「Cirrus Minor」や、③「嘆きの歌」などの良い歌が染みる。何気ない愛聴盤です。

Ummagumma

Disc 1 Disc2
1.Astronomy Domine
2.Careful with That Axe, Eugene
3.Set The Controls for The Heart Of The Sun
4.A Saucerful of Secrets
1.Sysphus Part 1
2.Sysphus Part 2
3.Sysphus Part 3
4.Sysphus Part 4
5.Grantchester Meadows
6.Several Species Of Small Furry Animals Gathered Together In A Cave And Grooving With A Pict
7.The Narrow Way Part 1
8.The Narrow Way Part 2
9.The Narrow Way Part 3
10.The Grand Viziers Garden (Entrance)
11.The Grand Viziers Garden (Entert Animent)
12.The Grand Viziers Garden (Exit)
2枚組みの大作で、1枚目が69年のライブ音源、2枚目がスタジオ録音。ライブ盤の方は「天の支配」や「太陽賛歌」、「神秘」など、サイケデリックな名曲たちを更に拡張した、4曲で40分というかなりハードで幻惑的なサウンド。ジャケットのように、まるで貴方までがあこの幻覚構造の中に組み込まれているかのような錯覚を感じさせる。当時のフロイドを上手く捉えていると思う40分間だ。2枚目のスタジオ録音の方は、各メンバーのソロを持ち寄ったもので、ジャケはまさにそれを示しているものか。各メンバーの趣向が前面に出されていて非常に興味深い。現代音楽のような超実験的な楽曲から、シンプルで穏やかななナンバーまで、次作「原子心母」を個々のパートに分解したような作りで、後の傑作への布石ともとれる。。この「ウマグマ」は、フロイドの作品の中ではあまり目立たないものかもしれませんが、個人的には1枚目も2枚目も、特に2枚目はメンバーのソロ作へも興味を向けさせてくれたと言うことから個人的にも思い入れがある一枚。

Atom Heart Mother
原子心母
1.Atom Heart Mother
(a) Father's Shout
(b) Breast Milky
(c) Mother Fore
(d) Funky Dung
(e) Mind Your Throats Please
(f) Remergence
2.If
3.Summer '68
4.Fat Old Sun
5.Alan's Psychedelic Breakfast
(a) Rise and Shine
(b) Sunny Side Up
(c) Morning Glory
1970年に発表。初の全英一位を獲得したヒット作であり、日本においても「原子心母」という素晴らしい邦題とともに、「プログレッシヴ・ロック」なる言葉を一躍広めた作品であった。レコード時代ではA面全てを埋め尽くした24分におよぶ代表曲、一大ロックシンフォニー「原子心母」で幕を開ける。6つの組曲からなる大曲であり、一躍フロイドの名を世に知らしめた。壮大な映像を想起させるようなとてつもなくスケールの大きい楽曲だ。レコードでいえばB面に収められた各メンバーが提供した楽曲も非常に美しい名曲ばかりで、特にロジャー・ウォーターズによる「もしも」はシド・バレットに寄せられたアコースティックソングで、感傷的な美しさに満ちた名曲だ。最終曲の「アランのサイケデリック・ブレイク・ファースト」はミュージック・コンクレートの手法を踏襲した美しい名曲で、朝の行動によって起こされる音をそのまま収録し、そこへピンク・フロイドの音がかぶさってくる面白い作品である。ミュージック・コンクレートは聴いていて非常に気持ちがよい。ヒプノシスによる牛のジャケットもロック史上に残る名ジャケットとして知られ、後にパロディとして拝借するアーティストも数多く存在する。手に取った時点で既に印象深い作品で、プロデュースは後に「狂気」のエンジニアを務めたアラン・パーソンと、バンド自身によるプロデュース。前述したようにフロイドサウンドを代表する傑作であるにも関わらず、ロジャーからは気に入られず、後に発表されるベストアルバムにも一曲たりとも選ばれていない。「原子心母」のオーケストラアレンジを務めたロン・ギーシンとの共同作業が気に食わなかったという。ちなみにロン・ギーシンとロジャー・ウォーターズは「More」の頃に共作のサントラ盤「Music From The Body」を発表している。

Meddle
おせっかい
1.One Of These Days
2.A Pillow Winds
3.Fearless
4.San Tropez
5.Seamus
6.Echoes
1971年発表。プロデュースはバンド自身。この作品は1971年発表。前作「原子心母」とは打って変わり、ほぼ4人の生演奏のみで構成されている。ピンクフロイドでも最高峰に入る名曲①「吹けよ風、呼べよ嵐」で始まる本作は、彼らの最高傑作は「狂気」に譲るとしても、個人的に最も愛する作品である。後の音響系やアンビエントを遥かに超える空間の美しさには口を閉じて、まどろみに落ちていくしかない。比較的短めな曲が続く2曲目以降はいずれもシンプルな楽曲たちで、アコースティックな味わい深さがある、まるで草原に佇んでいるかのような気分にさせてくれる名曲たち。こんなシンプルで美しい曲たちがあるから、より一層最終曲⑥「ECHOES」が際立つのである。23分におよび、レコード時代ではB面全てを埋め尽くしていた。メンバーは「この曲から今のフロイドがスタートした」と語っており、「吹けよ風、呼べよ嵐」と同じくライブでも頻繁に演奏されていた。後に発売されるベストアルバムにも「Echoes」というタイトルがつけられており、非常に長いこの曲もほぼそのまま収められている。どれだけの思い入れをバンドがこの曲に持っていたのかよく分かるエピソードである。シンプルな演奏とメンバーによる非常に高い評価など、「原子心母」とはある意味真逆な作品であり、ゆったりとしたまどろみを体験できる、心地よさではフロイド最高峰、個人的には最高傑作の名作。そしてプログレどうのの前に、まずこの作品は素晴らしいロックンロールである。

Obscured By Clouds
雲の影
1.Obscured By Clouds
2.When You're In
3.Burning Bridges
4.The Gold It's In The...
5.Wot's.. Uh The Deal
6.Mudmen
7.Childhood's End
8.Free Four
9.Stay
10.Absolutely Curtains
1972年発表。「おせっかい」と「狂気」の真ん中にあり、「モア」より地味な扱いになりがちで、ちょっと不憫な作品であるが、なかなかどうして、これこそ本当の意味で「隠れた」名盤である。「モア」と同じくこちらもサントラ盤。監督も同じバルベ・シュローダーで、「ラ・ヴァレ」という作品のために製作された。「モア」の時にはぶれていた焦点を、くっきりと捉えたといった趣。前作までに見られた大作は一切無く、短編集と言った感じで、非常に落ち着いたアダルトな雰囲気を一気に楽しめる。メンバーとしてもある程度肩の力を抜いて楽に作ったのであろう。同時期に、続く最高傑作「狂気」の製作も進めていたという事もあって、その序章的な作風ともいえる。同年には伝説の「箱根アフロディーテ」に続く2度目の来日公演もあった。
The Dark Side Of The Moon
狂気
1.Speak To Me / Breathe
2.On The Run
3.Time
4.The Great Gig In The Sky
5.Money
6.Us And Them
7.Any Colour You Like
8.Brain Damage
9.Eclipse
1973年発表。言うまでもなく史上に残る金字塔。ピンク・フロイド・サウンドの頂点に君臨する最高傑作である。やっていることは複雑で難しいんだが、最初から最後までつながっているサウンド自体や、なによりそこに込められたピンク・フロイドのメッセージは極めてシンプルで、「日常にひそむ狂気」というコンセプトも非常にわかりやすかったのだろう。日本を含め、世界中で一位を獲得したのも今となっては納得してしまうかもしれない。サウンドは先入観から程遠く、初めてこの作品を聴いた時にはあまりのシンプルさに若干肩透かしを食らったほどだ。その「分かりやすさ」がまた、天文学的なセールスを今なお続けている一因ではなかろうか。何よりこの人々が今生きている日々の中でも感じていることであるはず。狂気はいつの間にか日常に寄り添っているのだ。当作品の核となっているのが⑧「狂人は心に」。アルバムタイトルである「The Dark Side Of The Moon」もこの曲の歌詞の「I'LL SEE YOU ON THE DARK SIDE OF THE MOON」から取られている。この歌詞の一節である「YOU(君)」、⑨「狂気日食」における「調和を浸食する月」が指しているのももちろんシドの事。歌詞を書いたのは全てロジャー・ウォーターズで、シドの狂気にふれた彼が、その狂気をより一般的な、日常に潜んだ不偏的なものとして描き出そうとしたのだろう。ジャケットが描いているこの光の屈折も。①「Speak To Me」の心臓の鼓動音で始まり、⑨「狂気日食」の心臓の鼓動音で終わる本作は、未だその鼓動を打ち続けている。しかし何時聴いてももの凄く、正確な作品である。完全に正確に廻っているレコードのようなもので、何十年廻そうとも針がずれる事がない。無限の可能性と映像を見せてくれる。もはや音をも超越したかのようなまさに芸術作品。この光の屈折が描き出した「日常に潜む狂気日食」は、現代ではどこまで屈折しているだろうか。そしてコンセプト云々を大げさに語るよりも、この歌と演奏を聴こう。何よりもこの音楽が素晴らしいのだから。

Wish You Were Here
炎 ~あなたがここにいてほしい~
1.Shine On You Crazy Diamond (Part.1)
2.Welcome To The Machine
3.Have A Cigar
4.Wish You Were Here
5.Shine On You Crazy Diamond (Part.2)
1975年発表。前作発表後の巨大な成功の後に、ピンク・フロイドが送り出したのが、この「あなたがここにいてほしい」。前作と比べるとその内容は一見地味であり、発表当時はあまり良い評価は得られなかったと云われるが、しかしながらここに詰められているのは前述したように、心に響き渡るシンプルな演奏で、フロイドの作品の中でも最も感傷に溢れた作風となっている。[Shine On You Crazy Diamond」には、月の裏の住人となってしまったシド・バレットへの想いが綴り折られている。至る所で語られる有名な話だが、このシドへと捧げられた名曲のレコーディング中に、すっかり変わり果ててしまったシド本人がひょっこりとスタジオに現れたという話は、なんとも皮肉で運命的である。ビートルズもそうであったが、フロイドもまた様々な意味で運命的なグループであった。「ようこそマシーンへ」「葉巻はいかが」とロジャーの風刺の聴いた2曲の後に始まるフロイド史上最高の名曲「あなたがここにいてほしい」は、シドへの想いを歌ったシンプルなアコースティックナンバー。前作からの新たなる機軸というものはこの作品には無いが、今までのどの作品よりも人間としての温かさに満ちた普遍的な名曲だ。シドのみならず、やはり「あなたがここにいてほしい」という想いは、それぞれの人の胸にあるだろう。この作品以降、シドの影が見え隠れしなくなるところからもみると、この作品が彼らによるかつてのリーダー、シド・バレットへの本当に最後の別れの手紙だったのだろう。フロイドが我々に振り向きざまに見せた、最後の人間らしい顔だったのかもしれない。以降のフロイドは完全にロジャー・ウォーターズ主導のグループへと姿を変えていく事となる。

Animals
1.Pigs On The Wing 1
2.Dogs
3.Pigs (Three Different Ones)
4.Sheep
5.Pigs On The Wing 2
1977年発表。「見よ、豚が空を飛ぶ」。空を飛ぶ巨大な豚が写されたジャケットが印象的な作品。幻想味は薄れ、怒りを煙の如く、激しくむき出しにした大作。中核をなす3曲はいずれも10分を超える。現代人を豚、犬、羊の3種に象徴させ、強烈な社会批判や風刺を繰り広げるという分かりやす過ぎるコンセプトの下、音の方は前作以前よりもむしろ非常にシンプルなものだが、非常に暗く重い、現実的なメッセージを担っているため、幾つものへヴィロックアルバムを取り扱った本の中に、この作品が入っていたのは十二分に納得できる。フロイドの作品中最もへヴィな大作である。

The Wall
Disc 1 Disc 2
1.In The Flesh ?
2.The Thin Ice
3.Another Brick In The Wall (Part 1)
4.The Happiest Days Of Our Lives
5.Another Brick In The Wall (Part 2)
6.Mother
7.Goodbye Blue Sky
8.Empty Spaces
9.Young Lust
10.One Of My Turns
11.Don't Leave Me Now
12.Another Brick In The Wall (Part 3)
13.Goodbye Cruel World
1.Hey You
2.Is There Anybody Out There ?
3.Nobody Home
4.Vera
5.Bring The Boys Back Home
6.Comfortably Numb
7.The Show Myst Go On
8.In The Flesh
9.Run Like Hell
10.Waiting For The Worms
11.Stop
12.The Trial
13.Outside The Wall
1979年発表。2枚組みの大作コンセプトアルバム。ビートルズの「ホワイトアルバム」と並び、史上最も売れた2枚組アルバムである。人種、言葉、ベルリン、心・・・。ロジャー・ウォーターズが「アニマルズ」ツアーにて、観客との間に感じた見えないギャップと言うものをもっと広域に、普遍的なものに拡げ、「壁」という形で音像化したの。アニマルズより前に見られた幻想性というものは完全に取り払われ、剥き出しになってそこに残ったのは、白くそびえる巨大な、重く現実的なメッセージだった。それは音だけにとどまらず、3年後には映像化されている(監督はアラン・パーカー)。こちらは正に狂気的だ。しかし時は79年。巨大な売上を記録する一方、それでも当時の人々は、ストリートのリアルを反映したパンクロックの方にリアリティを見ていたはずで、皮肉にもそんな世間との壁も浮き彫りにしてしまった作品だったとも思われる。このアルバムに伴うツアーも相当大掛かりなもので、ほんの少しのライブをやっただけで二度と行われることはなかった。それは後の「THE WALL LIVE」などで聴くことが出来るが、映像自体は未だに正式リリースされていない。

The Final Cut
1.The Post War Dream
2.Your Possible Pasts
3.One Of The Few
4.The Hero's Return
5.The Gunner's Dream
6.Paranoid Eyes
7.Get Your Filthy Hands Off My Desert
8.The Fletcher Memorial Home
9.Southampton Dock
10.The Final Cut
11.Not Now John
12.Two Suns In The Sunset
1983年発表。ロジャー・ウォーターズ在籍時代最後のアルバムであり、ロジャーはこの後フロイドを脱退、ピンクフロイドの解散を宣言する。「鬱」以降のフロイドをフロイドと見なしていない人にとっては、フロイド最後のアルバムでもある。アルバムタイトルからして最終作といった趣だが、そういった意図は製作時には無く、「ザ・ウォール」プロジェクトの完結編として作られていたもので、結果的に最終作となったのは皮肉な結果である。歌詞、そしてそれを歌う声からして、自らの内に向かって語りかけているようで、非常に奥行きが深い。このアルバムがロジャー・ウォーターズのほぼソロアルバムであるというのはメンバー自身も認めているし、よく言われるところだ。かつての夜明けの口笛吹き達にかけられていた魔法は、とっくに解けてしまっていたのだ。そう感じさせる、共感を強制しない、極私的で悲しいアルバム。ロジャー版「ジョンの魂」と言ったところか。
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